ファルージャのいま


 人質のみんなが無事で自由になり、よかったです。特に18歳の今村君は
ぼくが参加しているTUP(平和のための翻訳者グループ)の仲間なので、
解放されてうれしいです。
 でも、ファルージャの惨劇は、いまも続いています。


              ラウル・マハジャン
              4月12日 コモン・ドリーム掲載

 私たちは一時停戦中のファルージャに行った。そこで私たちが見たことを
ここでレポートしよう。
 ファルージャではいま、治療を行える病院が四軒しかない。そのうちの一
軒は、自動車の修理工場を臨時に使っているありさまだ。この町への攻撃が
始まったとき、米軍はまず発電所を爆撃したので町中が停電だ。病院では、
自家発電でなんとかしのいでいる。
 
 私たちが行った病院は、まさに死にものぐるいの様相をていしていた。医
者たちはほとんど眠らずに、昼夜をてっして負傷者の治療にあたっていた。
 英語を流ちょうに話す病院の部長、アル・ナザルは、米軍によるファルー
ジャの包囲が始まってからの恐怖のできごとをこう語った。

「女性や子供たちがたくさん撃たれたんです。また米軍の狙撃手は、負傷者
を運んでいる救急車に向かっても弾をあびせたのです。わたしは47歳のい
まになるまで馬鹿でした。これまで米欧の文明を信じていたんですからね」

 救急車までが射撃されたなんて、ここに来るまで私は信じていなかった。
しかし病院で、フロントガラスに弾痕がついている救急車をこの目で見た。
それは運転手の胸を狙って正確に発射された弾痕だった。米軍の狙撃手は、
敵兵の胸を的確に射撃するように訓練されているという。
 ファルージャの町中が停電で真っ暗な中、この救急車は赤と青のライトを
点滅させ、サイレンを鳴らしながら走っていたので、抵抗勢力と間違えられ
ることはありえない。だから、意図的に狙撃されたとしか考えられない。

 一時停戦中なので、米軍は重火器を使っての爆撃はひかえている。そのか
わり狙撃手を使っての攻撃がいまも続いている。私たちがその小さな病院に
いた四時間のあいだに、十数人の負傷者が運ばれてきた。
 その中に十八歳の若い女性がいた。彼女は頭を撃たれ、口から泡を吹きな
がら発作に襲われていた。医者は、彼女の命は今夜いっぱいは持たないだろ
うと言った。
 
 同じように死にかかって運ばれてきたのは、幼い少年だった。彼の内臓は
大量に出血していた。また、上半身のほとんどが焼けただれたまま運び込ま
れた男性も見た。彼の太ももはギザギザにちぎれており、これはクラスター
爆弾にやられたのではないかと思われた。
 病院の中は、「アラー・アクバル!」(神は偉大なり)と泣き叫ぶ人々で
あふれ、錯乱状態だった。そして人々の怒りはすべて、この地獄をもたらし
たアメリカ人に向けられていた。
 
 ブッシュ政権は、ファルージャで抵抗しているムジャヒディン(聖なる
戦士)は、一部の過激派で、多数の市民から孤立していると断言している。
これは笑止千万で、これほど真実から離れた言葉はないだろう。
 もちろん、女子供や老人は、ムジャヒディンには加わらないが、地域の
住民は全力でムジャヒディンをサポートしているのが現実だ。私が会った
ムジャヒディンのひとりがイラク警察の防弾服を着ていたので尋ねたとこ
ろ、実際に彼はイラク警察の一員だった。

 負傷して運び込まれた青年アリに、「君はムジャヒディンなのか?」と
聞くと彼は、「今日まではそうじゃなかったけど、でもこれからは・・・」
と微笑みながら親指でグーサインを出した。こんな仕打ちのあとでは、彼も
カラシニコフ銃を手に取るのだろう。

 病院の部長、アル・ナザルは、「もしサダムがファルージャ市民に働けと
命令したら、われわれは3日間の連休をとりたがるでしょう。ファルージャ
の住民はサダムの信望者などではありません。それどころかサダムに抵抗し
つづけたんです。なのにアメリカ人はわれわれをサダムの残党なんて、まだ
呼んでいるんです」と語った。
 
 また、通訳のアル・アロウビーは、「ファルージャの人々は、素朴でシン
プルな人間なんです」と私に言った。これらの人々のほとんどは信仰心の篤
い農民なのである。だから、ファルージャの人々の好意的な接待を受けるこ
とは、いたって簡単なはずだったのだ。なのに米軍は、無惨な挑発行為で彼
らの善意を無茶苦茶にしてしまった。

 いまとなってはファルージャは、残忍な集団処罰の処刑場になってしまっ
た。すでに六百人以上の市民が殺されたが、そのうちの二百人が女性で、百
人以上が子供たちだったと見積もられている。男性の死者の多くもまた、非
戦闘員である一般市民だった。

 ベトナム戦争のとき、米特殊部隊の大佐が、「この町を救うために、まず
この町を破壊しなくてはいけない」と言った。いまのイラクでも、米兵は同
じことを言うのだろう。ファルージャは破壊されつくさないかぎり、テロリ
ストたちから救うことができないのだと・・・。

                (抄訳・パンタ笛吹/TUPチーム) 

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