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平和な星になるために・・・


血と包帯は罪のない人々のために(改訂版)

3月30日(日曜日)

        ロバート・フィスク (インディペンデント紙)
        バグダッドにて


血と包帯は罪のない人々のために(改訂版)

 それらの金属の破片は、たったの30センチばかりだが、その数の多さが、
残虐行為のすさまじさを物語っている。昨日の午後までに、米英軍の誤爆によ
り、少なくとも62人が殺された。

 市民十数人が死亡したシャアブ市場の爆撃について、米軍は、「イラクの対空
ミサイルが、間違えて自国民を破壊したのでは」とほのめかすのがせいいっぱい
だったし、50人以上の死者が出た住宅地アッシュウラでのミサイル着弾事件では、
米軍は「調査中だから何とも言えない」と発表している。

 アル・ヌーア病院は、痛みと苦しみを訴える負傷者で溢れている。身体中包帯
を巻かれた2歳の少女、サイダ・ジェファーの鼻と腹にはビニールの管が通さ
れ、私に見えるのは彼女の額と目とアゴだけだ。彼女の横には、血だらけの古い
消毒綿と包帯が山と積まれ、一面にハエがたかっている。

 この病院には原始的なレントゲンがあるだけで、コンピュータは一台もない。
しかし、死傷者たちを爆破したコンピュータ誘導ミサイルの破片には、明らかに
コード番号が記されていたのだ。

 私が見たミサイルの破片には、30003-704ASB 7492とあり、製作会社の暗号と
思われるMFR 96214 09までが記されていた。この破片はアッシュウラでの着弾の数分
後に、現場から100メートル離れた所に住む老人が拾ったものだ。もしアメリカ軍
がそのコード番号を調査をすれば、それが米軍のものだと簡単に実証できるだろう。

(訳者注・MFR 96214は、米大手兵器メーカーのレイセオン社に割り当てら
れているコードと一致した、と31日の朝日ネットは報じている)

 病院に運ばれた負傷者たちの体には、無数の榴散弾の破片が突き刺さってい
る。医師は負傷者のレントゲンを見せてくれたが、ある患者の体内にはいまだに
35個の金属破片が突き刺さったままになっていた。

 ブッシュやブレアが、サダムに対して反乱に立ち上がってくれると期待してい
たバグダッド市民というのは、これらの悲惨な犠牲者たちなのだ。
 
 爆心地のまわりの貧民街では、米英に対する怒りが爆発している。
「これは犯罪です。アメリカは市民を標的にしていないなんて言うけど、このあ
たりのどこに軍事施設があるというんですか!」と、老婆は怒ってはきすてた。

 側にいた男性がわりこんできて、「ワシは戦闘機がミサイルを発射した後、方
向転換して飛んでいったのを、この目に見たんだ」と言った。

 アル・ヌーア病院の一室では、20歳の青年がベッドに座っていた。切り株の
ように切断された彼の左腕に巻かれた包帯は、おびただしい血で塗り固められて
いた。ほんの12時間前までの彼には、左腕があり、左手があり、左手指があっ
たのだ。

 今の彼は、ただうつろに記憶をたどるだけだ。
「ロケット弾が飛んできて、ボクはその側にいて・・・あとは救急車の中だった
よ」切断された腕の痛みを、痛み止めがやわらげてくれているのか、彼はしきり
にしゃべりたがった。
 最後に、私が彼の名前を聞いたとき、彼はベッドの上で背筋を伸ばして座り直
し、こう叫んだ。

「ボクの名前は、サダム・フセイン・ジャシームだ!」

     
                     (抄訳・パンタ笛吹)

http://argument.independent.co.uk/commentators/story